» 2016 » 3月のブログ記事

東日本大震災を教訓とし、毎年日本列島のどこかで大規模災害が発生し、その度に多くの犠牲者が発生しています。

自然災害はいつどのような規模でどこに襲ってくるか予想が付きません。(但し台風等豪雨災害はある程度早めに予見できます。)

すなわち人間は自然災害には絶対に勝つことは出来ないのです。

そうは言っても、災害で怪我は勿論、命を落とすようなことがあっては絶対にならないので、唯一人間が持つ、「災害には勝てないけど、人間は生き延びる知恵を持っている。」のごとく、知恵を十分に働かせる知識を身につけることが最も大切なことと思います。

そのためには、可能な限り事前対策をとることで、方法としては、「情報」に尽きると言っても過言ではありません。

その情報は、与えられる情報、取りに行く情報があり、双方ともとても重要なことです。

総務省としては、全国の自治体における防災担当者に対し、どのようにすれば正確な情報が早く伝えられるかを目的とした、「災害情報伝達に関するアドバイザー」事業を行っています。

今年度も、北は北海道から南は九州沖縄まで、26の自治体に対し、国から出向いて行って、ハード対策・ソフト対策について各自治体に合ったアドバイスを行ってきました。

この事業は、一定の基準により希望自治体を受け付け、自治体系アドバイザー7名、企業系アドバイザー9名、総務省から5名の合計21名でそれぞれ手分けをし、アドバイスに行くといった事業です。

費用は全額国の予算から出ますので、受ける各自治体は、一銭も出すことはないと言った、こんなうまい話の事業なんです。

中には、この事業が始まった3年前から、毎年手を挙げる自治体もあります。(毎回違う相談を受けています。)

行政マンは、公安職のように災害対応専門家ではなく、更に小規模自治体は、防災と他部署との兼務と言った防災兼務体制をとっているところが結構あります。

今年度の当該事業も無事終えましたので、私なりの所感を申し上げますので、今後の参考にしていただければ幸いです。

災害にあまり見舞われたことのない自治体は、防災に対する意識が低いと感じました。

あるところでは、初めて大規模な豪雨災害に見舞われ、何をしてよいかわからず、時間だけが過ぎ去ってしまった。と反省をしておられました。

また、ここ最近の豪雨災害では、被害の大きかった自治体では、首長が謝罪をする場面が結構目につくようになりました。

一般の方から私に、「首長があんなに簡単に謝ってもよいのですか。あまりにも無責任ではないでしょうか。」との質問がありました。

状況によっては、いくら謝罪されても、犠牲になった方は帰ってきませんので、そうならないためにも、この事業は大変役に立つ事業と思っています。

「転ばぬ先の杖」が正にこの事業と言えるでしょう。

来年度も、引き続きあるようですので、ハード面、ソフト面でのアドバイスを受けるため手を挙げて見られませんか?

島根県大田市で今年度取り組まれた防災研修が、今日3月13日で終了しました。

今日は、午前中「五十猛(いそたけ)」地区と午後「鳥井(とりい)」地区で、昨年に引き続きDIG(ディグ)という図上訓練を行いました。

この2地区は、万寿3年5月23日大規模な津波に襲われたと言い伝えられる地区で、特に「鳥井地区」は海岸から直線距離で約1.3km離れた海抜約20mの峠を津波により船が流され越えたと言われ、この坂が「船越坂(ふねんござか)」と今日まで言い伝えられています。

当時は、正に東日本大震災で被害を受けた、南三陸、気仙沼の様な状態ではなかったかと思われます。

勿論ここ何十年と、地震被害はもとより、大きな津波被害も発生してはいませんが、地元の人は、今でも大津波に襲われたとの言い伝えにより、防災意識も高いのが伺えました。

午前中の五十猛地区では、まちづくりセンターで、約40名以上の参加のもと、昨年途中まで作り上げていた「地域独自の防災マップ」を完成系に仕上げていただきました。

午後の、鳥井地区は、30名程度の参加で、この地区は新たに白地図から作成していただきました。

両地区とも、各班(3班)の進行役のリーダーの方を中心に、過去の災害記録を参考にしながら、危険個所、避難場所、避難経路と言った「災害発生時に必要とする内容」を地図上に表示し、出来あがった防災マップを元に、今回は「豪雨災害」を想定して、参加者全員が、付箋紙を使い、5分と言う限られた時間内に、考え付く災害対応を出来る限り書き出し、図面上に張っていただきました。

最後に、発表者の方が、それらの内容をまとめ、各班の災害対応全般について発表していただきました。

特に今回は、発表が終わった時点で、他の班から質問が出たり、また災害発生の補足がある等、地域を守る防災意識の高さが伺えました。

センター長さんからは、今後地域独自に防災研修を継続していきますとの考えを聞かされ、大変嬉しく思ったところでした。

また今日は、地域住民の方以外に、大田警察署から警備課長さんに駐在所のお巡りさんも参加されるなど、官民一体となって地域防災を考えられたことが、とりもなおさず、地域住民の方にとっては、いつ来るかわからない災害に対し、安心して暮らせる体制づくりにつながっていることに他ならないと言うことでしょう。

企画立案実行されました、大田市役所政策企画部地域振興課の細田さんを中心に、紙田さん、園山さん大変お疲れさまでした。

園山さんは、今日の会場にも自分の勉強のためと来られました。

全国の皆さん、大田市のような取り組みを是非参考にしていただき、過去の災害対応で何回となく目にする、首長、防災担当者の謝罪会見を行うようなことにならないようにしていただきたいと思います。

今回は、訓練風景の写真添付が出来なかったことお詫びします。カメラのメモリーオーバーでした。

参考

この新聞記事は、日本海の海岸に近い「鳥井小学校」の生徒を津波から守るため、地区の高齢者ボランティアの皆さんが、昨年11月から今年2月までの約4カ月かけて、校庭の裏山の木を伐採し、山肌を削り、階段を作り、避難道を作られたと言う毎日新聞の記事を紹介します。(2月29日毎日新聞石見版)

東日本大震災で、ほぼ全員が津波の犠牲となった「大川小学校」と地理的条件がほぼ一致する状況にある「鳥井小学校」です。

大川小学校も、このような取り組みが行われていれば、あのような犠牲者を出すことはなかったことが悔やまれます。

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島根県大田市には、世界遺産「石見銀山」の観光地を有する温泉町があります。

当温泉地は、温泉津と書いて「ゆのつ」と読み、昔は、山で掘られた銀を、港から運び出したと言われ、閑静な山間に昔ながらの温泉旅館が立ち並ぶ古風な温泉街で、平成16年7月に、「温泉津町温泉津伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたところです。

この温泉津温泉、薬効が高いところから、「原爆症」によく効くと言われ、湯治場として位置付けられているとのことです。

国道9号線を西に進み、大田市のはずれに近付くと、大きな立て看板で「温泉津温泉入口」と書かれており、ここから車で5分~6分で行けるところにあります。

温泉津の町から温泉街への進入道路は若干狭く、このあたりから秘湯をにおわす風景が続き、やがて古風な旅館が立ち並ぶ温泉町に到着します。

今回私に依頼があったのは、年間沢山の旅行客が来られる温泉街の防災を、従来から地域ぐるみで守られており、そのノウハウを高めるために依頼されたのでした。

会場は、「小浜会館」で、地域住民の方40名程度集まられ、近年の災害の特徴等をお話しし、大きな災害になる前の情報の取り方、地区内への伝達方法、早め早めの行動等々について認識を新たにしていただきました。

この地区は、港を有し、山を背にした町並で、地形的には災害に弱い地域と言わざるを得ないところですが、災害による被害拡大は必ずしも地理的用件だけではありません。

地域を守る住民の意識レベルが高いか低いかによっても大きな違いがあります。

特に、観光地の温泉町は、観光客の方が安心して泊られる事が一番の「おもてなし」であることから、他の地区と違って、防災意識はより高いものがあります。

ここ温泉津温泉も同じく先進的に取り組んでおられ、今回の研修も「まちづくり委員会事業」として、小林連合自治会長さんと河原まちづくりセンター長さんがタッグを組み行われたものです。

1時間半の講義に、参加された皆さんは熱心に耳を傾けていただき本当にありがとうございました。

私はつねがね、「目的なくして方法論なし」と言っています。

しっかりとした目標があるから、それを達成するための方法論を考えるのであり、方法論から入ると目標がぶれてしまいます。

観光客の皆さんの安全を地域ぐるみで守る!を目標としていただき、防災意識も保険の様なものですから、継続することが大切です。

どうでしょう。まだこの地「温泉津温泉」に来られた事のない方、一度来てみられては如何でしょうか。

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昨日(3月5日)私の事務所から1時間半かけて、大田市2か所で午前・午後講演し、夕方6時半に帰り、今朝(3月6日)再び大田市に向け朝7時半に事務所を出発しました。

今日も午前中大田市長久地区で図上訓練(DIG)を行い、午後は静間地区で同じく図上訓練(DIG)を行いました。

この2か所の地区は、今年で3回目であり、1回目は「防災全般から自主防災組織結成まで」のお話しをし、2回目を行った昨年は、地図を元に各地区独自のハザードマップを作っていただき、自分たちの住んでいる地域はどのような災害発生危険があるか、有事の際の避難場所は、要支援者対策は等々各班で意見を出し合っていただき、代表の方に発表していただきました。

今回は3回目で、昨年使った地図に更に手を加え完成系にするという、DIG2回目を行った訳です。

ほぼ完成した「地区独自のハザードマップ」を元に、今回は「豪雨災害」に特化した想定を与え、豪雨災害に対しての平時の備えから、災害発生危険となった時の「初動体応」、地区内住民への広報、避難開始時期のタイミング、どこを通ってどこへ避難するか、要支援者は誰が守るのか等々をまとめていただき、それぞれの班から発表していただきました。私はこれを「防災甲子園」と名付けています。

この「防災甲子園」は、各グループ(班)が自分の住んでいる地域の安全・安心をどのように考えているかを色々な視点でとらえ、災害対応を発表し合うと言った内容です。

本来は、発表には審査員を付け、最優秀賞を獲得したグループには、賞品(地域で有効な防災用品)を与えるのですが、今回は発表のみとし、最後に講評すると言った形をとりました。

今回参加された「長久」「静間」両地区とも流石に2回目となると、慣れたもので、1回目に使った地区ハザードマップに更に付けくわえ、又は変更になったところの修正等テキパキと作業が進められ、ほぼ完成としました。

中でも、「静間」は、谷の深い大きな2本の川を有し、更にこの2本が上流で合流し、そこへ支流が流れ込むと言った、正に河川水害危険区域でもあります。

したがって、特に静間地区の方は、地域全員が本気で考えないといけない地区でありますが、残念ながら防災意識がまだまだ薄いとの意見がありました。

今後は、大田市からゼンリンの地図データを各地区に配布し、今回出来あがった「地区ハザードマップ」を基に、さらに細分化し「各単位自治会」でハザードマップを作っていただくようになるとのことです。

全国各地区の皆様如何でしょうか。この島根県大田市の取り組みを是非参考に、各地区の「防災地域力」を高めて見られては如何でしょうか。

長久まちづくりセンターでの訓練風景 

DIGの仕方を説明 各テーブルで検討 発表         

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静間まちづくりセンターでの訓練風景(緑色のベスト着用者は、昨年誕生した防災委員の方々です。)

各テーブルで書き込み作業 発表

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大田市の久手町と言えば、出雲から大田市に入って二つ目の町で、日本海に面しており、災害の中でも津波被害を心配されている地域です。

昔から、出雲から大田市までの地域を覚えるには、「波根(はね)ー久手(くて)ー大田(おおだ)」の順になっていますが、呼び名を覚えやすいように、「はねくっておおだ」とも呼ばれています。

何だか、跳ねっているうち大田に着く、と言ったように、出雲市から大田市までは以外と近いんですね。

今日は、久手まちづくりセンターに地域の方が30名以上参加され、災害に対する考えを学ばれました。

嬉しかったのは、元仕事の関係でお世話になった方に何十年ぶりに元気な姿でお会いし、元気なればこそ再会が果たせるとつくづく感じていました。

話の最初に、私から、今年も全国どこかで大きな災害が発生すると思いますか?と質問しました。

手が挙がったのがわずか4名で、殆どの方は平穏な1年になるだろうと思っていらっしゃると言うことでした。

私としては、何と平和な地区だろうと思ったところでしたね。

しかし、話が始まると皆さんの眼つきが変わり、1時間半の講演時間、瞬きもせずに(ちょっとオーバーでした。)熱心に聞いていただきました。

お話しが終わった時には、皆さんから口々に、「私たちはいったいどこへ避難したらいいの?」とか「どうやって避難しようか。」「だから地域で話し会ってどうするか決めんといかんじゃないか。」との会話が始まりました。

私としては、この言葉、このような考えになってほしかったのでした。

今までに、頼まれて話した地区でも、最後にこの様な会話が出たところは殆どありませんでした。

いや~ほんとに話した甲斐があったと思いました。出来ればこの雰囲気が続いてほしいですね久手地区の皆さん。

どうか、真に安心して住める町を作って下さい。

今日のきっかけづくりを作って下さった市役所の「園山さん」お疲れさまでした。これからもサポートお願いいたします。

講演風景

 

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