» 2014 » 8月のブログ記事

依然このブログで、出雲市での大規模地滑りを掲載いたしましたが、読者の方から場所が違っていると指摘され確認したところ間違っていました。

正しくは、出雲市佐田町でしたので、訂正とお詫び申し上げます。

この度広島市を襲った大規模土石流災害、死者・行方不明者が100人を超すともいわれている今回の災害で、なぜ多数の犠牲者が出たか。

前回お話をさせていただいた通り、「正常化の偏見」が被害の拡大の大きな要因となったと思っています。

常に危機管理意識を持つことが「身の安全」につながるものです。

豪雨災害を中心とした身の安全を図るヒントを「防災コラム」で紹介していますのでご覧下さい。

特に広島は原爆被災市であり、有名な教訓として「過ちは二度と繰り返さない。」と言う言葉が未来永劫受け継がれます。

今回の教訓としては、「正常化の偏見は過ちである。」を心に深く刻んでいただきたいと思うところです。 合掌

1999年6月29日、死者31人を発生させた、「6.29災害」から15年、再び大規模土砂災害に舞われた広島市北部。

またもや繰り返された自然災害の脅威に、今後私たちはどのような危機管理に立って生活しなければならないか改めて考えさせられました。

今回の災害は、6.29災害を上回る犠牲者を出し、更には、消防吏員OBの私にとって最も残念な「殉職」者を出したことです。

被害の全容等々これからですが、私も近じか現地入りし、調査をしようと考えています。

しかし、今年は、追い打ちをかけるように、今後同じような災害が全国のどこかで発生する危険性が高いため、当面の対応策を示しますので、参考にしてください。

傾向と対策

1.地球の風化が進み、今までに地滑りが1回も発生したことのない山が、もろくも崩れる状況となった。

2.過去の地滑りは、「表層崩壊」が殆どであったが、ここ近年丈夫と言われていた岩盤層が崩れる「深層崩壊」が急増してきた。

3.今年は特に、梅雨前線が消えて梅雨明けとなるはずが、完全に消えず、東北地方で残った状態となった。

すなわち、太平洋高気圧がいつまでたっても勢力をのばすことが出来ず、逆に湿った気流が次から次へと流れ込んできた。

4.太平洋高気圧の勢力が弱い分、大陸の寒気団が流れ込みやすくなっている。併せて、偏西風の蛇行が未だ続いている。

5.昨年は、夏からいきなり冬となったが、今年は夏が殆どなく、梅雨状態から秋の長雨傾向が予想される。

6.降雨記録は、定点観測地点は参考とし、自らの地域で雨量観測する仕組みを考える。

7.近年の大規模水害は夜間に発生している。従って、雨が降り続ける場合は、寝る前に十分な体制で一夜を過ごすこと。

状況によっては、一晩寝ないくらいの覚悟が必要である。

8.寝る前の状況判断で、危険と感じた場合は、早めに安全な場所へ避難する。(空振りの三振はよいが、見逃しの三振はするな!)

9.緊急やむを得ない場合は、山、川から出来る限り離れた部屋、若しくは2階へ避難する。

10.停電対策を必ず行うこと。

11.非常食は、最悪1日程度食べなくてもよいが、水は必ず必要である。(特に水害は、井戸水も飲めなくなる)

12.避難する場合、必ず持参しなければならないものは、「常備薬」。

13.早めの避難は、車で避難する方が良い。(大雨の中徒歩での避難は危険。)但し、災害が発生するようになってからでは、逆に行動することが危険である。

参考

自分で雨量観測をしよう。

我が家で降水量を観測し、10分雨量10mm~15mm降れば、危険と判断しいつでも避難できる体制を作る。

簡易雨量計の作り方

透明な容器(形は問わない)で、口の径と、底の径が同じもの(円柱・四角柱)を用意する。(100円均一のもので良い。)

底から、物差しをあて、5mm、10mm、15mm・・・とマジックで書いていく。

容器の大きさは、直径概ね10cm程度で良く、100mm以上計れる容器であればよい。

庭先など上部に障害物のない所へ設置する。

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我が家の簡易雨量計です。

平成26年7月9日午後5時から6時にかけ、集中豪雨による土石流災害が発生!

私は、7月28日現地調査に向かいました。

朝5時に松江市を出発し、JRで名古屋まで行き、名古屋駅前でレンタカーを借り、一路南木曽町を目指しました。

あらかじめ、木曽消防署南分署へ連絡し、消防署で状況を聞き現地調査を行うこととしていました。

消防署へ到着したのが午後1時10分、到着時間頃に庁舎の外で私が到着するのを待っていただきました。(流石消防です)

早速、分署長から災害状況について詳細について説明いただきました。

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これが南木曽町の被害の全景です。

向うの山が南木曽岳、ところどころ白いところが見えるのが地滑り現場です。

手前の川に堆積しているのが、土石流で流れ出た土砂が堆積しているところです。

今回の特徴は、雨量定点観測所では、2時間で88mmを記録しているにもかかわらず、大規模な土石流が発生していることです。

すなわち、雨量計のない、南木曽岳において相当量の雨が降ったものと思われます。

避難指示は、午後5時40分から45分に出されていますが、その時間にはすでに、川の路肩からはるかに上を土石流が流れていました。(付近住民の話)

私は、被害の一番ひどかった読書(よみかき)地区の4人の方から当時の状況を聞きました。

共通して言えることは、目の前で水害が発生してから避難していることです。

一家4人が家ごと流され、1名(中学生)が亡くなった家も、危ないと思ったその時一瞬にして家ごと流されています。

 

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教訓

1.今までにない側溝等からの出水を何人も確認しているので、この時点で「もしかしたら・・・」との考えで行動に移るべきであったと思われる。

2.行政は、いち早い情報を伝達すべきであったが、雨量定点観測では、そんなに多くの降水量を記録していないため、結果的には判断時期を失っていた。

3.行政、住民とも正常化の偏見があったと思われる。

4.河川改修工事がなされており、3面ともコンクリートブロックで覆われ、砂防堰堤も数か所設けられていたが、ズタズタに破壊されていた。

5.地質が、花崗岩の地で、しかもどこを掘っても、土ではなく岩が出るほど、岩の多い地形であったため、一気の出水で土石流と言うより、石流災害であった。

6.地球の温暖化で、今は「雨が降れば滝となる。」を教訓に、正確な情報をより早くとり、住民で共有し、早めの対応がわが身を守る一番の対策と思われる。

南分署長様、お忙しい中、対応していただき本当にありがとうございました。

この教訓を全国民の方に伝達し生かしていきたいと思います。

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