» 2015 » 3月のブログ記事

長野県松本市の防火協会から、企業の防火管理者を中心の研修に講演してほしいとの依頼を受け、3月3日に行ってきました。

さしずめ「お雛さま」講演となったこの日は、松本市の市民ホールに約200人強の関係者が参加され、企業における危機管理体制と言うタイトルでお話しさせていただきました。

自然災害から大規模事故までの事例を紹介し、対応の不備、事故につながる要因等々検証結果からお話しさせていただきました。

松本市は過去大きな災害には比較的見舞われていない地域でしたが、昨年の豪雪災害、予期もしなかった「御嶽山」の噴火と言った災害が頻発するようになり、講演前日も「大停電」に見舞われるなど、危機感を持たれるようになったところでした。

話の中で、「私が選んだ26年10大ニュース」の中に、長野県の災害が半数含まれており、参加者の真剣なまなざしがこちらに伝わってきていました。

危機管理で最も欠けているところは、優秀な職人さんが世代交代で次々と退職され、IT時代が不幸にも大規模事故につながる傾向が見え、更には、経年劣化による設備の老朽化も進み、限られた定期点検項目のみで安全を担保していると言った現状に置かれています。

正に、危機管理を一言でいえば、職人と言われる「優秀な人材育成」が急務とされてきました。

そのためには、技術もさることながら、あらゆるところに気配りの出来る人づくりが今最も求められていますよ。といった内容の事を延々1時間半お話しさせていただきました。

一人の睡眠者もなく、目を輝かせて聞いていただいたことに、本当に感謝いたします。

講演の後、役員の方と講演第二ラウンドのお話をしましたが、次々と質問を出され、関心度の深さがうかがえました。

関心度の深さからいえばもうひとつ、役員関係者の方が全員はっぴをまとい、対応されている姿を見た時、他都市ではあまり見かけることのない姿であったため、非常に印象深く感じたところでした。

その夜は、くしくも防火協会の会長さんが経営されている松本駅前の「ニューステーションホテル」に泊ることになりましたが、私としては、次に関心を引くところは、従業員さんの接客態度と防火体制が如何なものかということになってきた訳です。

泊るときくらい仕事から離れ、のんびりとすれば良いものと思うのですが、ついつい仕事熱心?から気になるところでした。

接客は勿論良かったですし、特に配慮されていると感じたのは、各部屋に「非常用懐中電灯」と「防煙マスク」が備えてあったことです。

懐中電灯は、意外とよくあることですが、「防煙マスク」まではそうそう設置してあるホテルはありません。

流石会長さん!宣伝するわけではありませんが、安心して泊まれるホテルと思いました。

しかし、一朝有事の際の対応はどうなのか?こればかりは、実災害が起こらない限り何とも言えませんが・・・・。「人」「物」を見ればだいたい分かります。

今回の事務方は、松本市消防局の野本さんでしたが、非常に細かく準備されお招きいただきましたことに大いに感謝申し上げます。

これからも、市民の安全安心にお力を注いでいただきますようお願いいたします。

またお会い出来る日を楽しみに。

image松本市防火協会役員の皆様(中央が私です)

今日3月1日、島根県のあの世界遺産で有名な「石見銀山」の地元大田市の西部まちづくりセンターで図上訓練(DIG)が行われ、助言者として依頼を受け行ってきました。

大田市は、自主防災組織結成に向け非常に熱心に取り組まれている地域であり、今までにも、西部、三瓶と要請を受け講演を行ってきました。

今日行われた地区は、昨年も住民自由参加で、かなりの人数の方が参加され、自主防災組織結成に向け研修会が行われました。

今年は、更に一歩進めて、地区の町内会長さんとか区長さん、消防団員、また消防団OBの方々約100名が参加され、DIGという図上訓練を実施しました。

今日参加された地区は、「鳥井地区」「静間地区」「五十猛(いそたけ)地区」「長久地区」の4地区から、各地区のリーダー的存在、地区を引っ張っていく方々が参加しての訓練でした。

この地区は、近年大きな災害には見舞われてはいませんが、過去に「万寿地震」により大津波を経験したり、静間川の氾濫により軒先まで浸水したりの被害を受けたことのある地区です。

最初に、私から訓練の進め方を説明し、1テーブル約10名の島を9班設置し、40分という短い時間に、各地区別に分けた2500分の一の地図に、道路、河川、避難所、公衆トイレ、要援護者宅、病院、コンビニ、AED設置場所、過去の災害発生場所、津波危険個所、土砂災害発生危険個所等々を色別、カラーシール等で表示し、どこを通って、どこへ避難するのか、津波の場合は、出雲市沖海底断層地震による津波高さ2.7mに対する避難場所であるとか、佐渡島北方沖地震による津波被害を想定し、海抜5m、10mを表示してどこへ避難すればよいかなど検討していただきました。

今回のDIGで一番感心したのは、各班とも非常に熱心に取り組まれ、地図上には書ききれないほどあらゆる情報が書き込まれていました。

私は今まで、数多くこのような訓練を行ってきましたが、ここまで目の色が変わって訓練に取り組まれた地区はありませんでした。

このような防災訓練を計画しますと、各班2人~3人は一生懸命取り組むものの、後の方はただ見ているだけ、と言った風景が良く見受けられます。

しかし、今回の訓練は、本当に全員が危機感を持って取り組まれた姿を見た時、このような考えが全地域につながれば、26年11月22日長野県北部で発生した「神城断層地震」で大きな被害を受けた「白馬村」のように、一人の犠牲者も出さなかった「自主防災組織」の活動につながるものと確信いたしました。

今回の訓練計画を立てられたのは、大田市の行政職員の「西村」さんでしたが、非常に熱心に計画を立て、参加地区との調整を行い、それに答えるように地区代表の「宅和」会長さんを中心に、地区代表役員の方との連携により実施されたもので、その熱意がうかがわれました。

最後の反省会の時、話が出ましたが、「実はこの地区最近大きな災害が発生していなく、誰もが危機感が薄らいだり、安心したりしているところがあり、それが一番心配です。」という意見を聞きいた時、正に日本列島で大きな災害に見舞われたところは、大なり小なりこの言葉が裏づけられています。

いつ来るとも分からない災害に対応するためにも、常に心と、物の準備は是非お願いしたいものです。

今日訓練に参加された皆様、ご苦労さんでしたと申し上げますとともに、久しぶりに住民主導型の訓練に参加できたこと、大変嬉しく思いました。

これからも今まで以上に地域内のコミュニケーションを取っていただき、安心して暮らせる「大田市」を目指していただきますようお願いいたします。

今日はご苦労様でした。

お問い合わせ


講演依頼、危機管理のアドバイスの他、防災に関するちょっとした質問など、お気軽にご連絡ください。

カテゴリー