去る4月13日午前7時38分55秒に、予定されていた北朝鮮の人工衛星こと弾道ミサイルが発射されました。
我が国における政府からの情報発信が遅れたことで、国会も報道機関も我が国の防衛・危機管理体制の
不備に大きな問題点を指摘しています。
防災危機管理を担当するものとして検証してみました。
①今回の問題点
政府は国民に不要な混乱を避けるため、迅速にしかも正確な情報を知らせるためダブルチェック体制
をとっていた。
・アメリカ・韓国とも確認していたが、「熱源」のみで、人工衛星なのか、ミサイルなのか判断がつ
かなかった。
・日本のレーダーシステムで確認したが、発射1分後に消息不明となり追尾の確認ができなかった。
・正規に飛行すれば当然追尾可能となり、確実な情報を発表し、安全対策が指示できたが、1分後に
追尾不能となれば、いずれにせよ日本には影響ないとの判断が生まれる。
・この時点で、人工衛星打ち上げの決定的確認が取れなかったため、「確認していない。」と発表した。
・引き続き正確な情報収集に努めたが、時間ばかり経過し、確たる確認が取れない中で、機体が爆発し
バラバラの破片が「黄海」に落下したとの海外メディアの報道により、時間切れと判断、当初の情報
をもとに発表したものであり、正確な情報をつかむことができない中で「見切り発車」との声もある。
②危機管理には危機管理のプロを!
行政マンは、未確認情報については発表しない。
・危機管理のプロは、情報を瞬時に判断し決断する能力を有する。しかし、行政マンは、自分の目で確
認できなければ決断できない。
・状況証拠がそろっていても、日本国に直接影響がないと判断すれば、更に確実な情報をとろうとする
考えが生まれる。このことが今回の判断ミスの大きな原因と考えられる。
・しかも今回は2重のミスを行った。田中大臣の言葉。
① 報道機関から政府の対応のまずさを指摘され、「情報伝達が遅れたとは考えていない」と断言し
た。
② 断言は命取りになる!本当に不手際がなければ良いが、その後、官房長官自らも、対応のまずさ
を認識し、しっかりと検証する考えを示した。
③危機管理のプロの目
北朝鮮の人工衛星(弾道ミサイル)の発射は、4月12日~15日の間、時間帯は午前7時から正午ま
でとあらかじめ分かっていた。
関係者はすでに臨戦態勢を敷いていた。
国民も突発するテロとは違い、あらかじめ予想されていたため、発表があればパニック的行動は起こ
さない状況にあった。
同盟国のアメリカからは瞬時に情報が入っており、同時に韓国情報も入手していた。
等々状況証拠がそろっており、まず間違いないと判断することが重要。
次発表内容は、不確実要素も含んでいることから、発表する言葉は慎重を期することが大切である。
仮に誤報であっても、発表の仕方で大きな混乱は避けられる。
④我が国の危機管理体制の欠如
・平成18年7月5日北朝鮮からミサイル発射。
予兆があったにもかかわらず、政府は万一に備えながらも本音は発射されないと思っていた。結果、
日本海へ着弾してから発表することになった。
・平成20年2月19日最新鋭海上自衛隊「イージス艦あたご」衝突事故においても、防衛大臣に連
絡が入ったは事故後1時間半たった5時40分。更に総理大臣へは25分遅れの6時5分であった。
・平成23年3月11日東日本大震災
政府はあのような規模の津波被害は「想定外」と発表した。危機管理の基本は想定することにあり、
「想定外」とするなら、まったく考えていなかったことになる。
・平成24年4月13日北朝鮮から人工衛星と称する「弾道ミサイル」発射を瞬時に発表できなかっ
た。いづれにしても、最も重要な局面で過去の反省が生かされていない!我が国の国民はだれに
命を預ければよいのか。
⑤わが国の安全に係る危機管理に赤信号
安全で安心できる生活を担ってくれるのはいったい誰なのか?
あらゆる「災害」に対する危機管理体制は「政府」にある。
政府の危機管理体制を根本的に見直す必要がある。
行政機関のトップの側近に、権限を与えられた「特殊危機管理部隊」の設置を行う必要があると考えら
れる。